『鳩の撃退法』の小説の凄さについて解説していきます!
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『鳩の撃退法』(佐藤正午著)の凄さを3つにまとめる・あらすじ・ネタバレなし・感想・考察・レビュー魅力的なキャラクター・映画化決定(2021年8月27日公開予定)!実話ではない・原作小説・文庫・Kindle
『鳩の撃退法』の小説の凄さはいろいろあるのですが、分かりやすく3つにまとめてみました!
1、 先の読めないドキドキするサスペンス展開
2、 魅力的なキャラクター達
3、 圧倒的な文章テクニック・小説技法
それぞれ解説していきます!
『鳩の撃退法』の凄さその1・ドキドキするストーリー展開・あらすじ・サスペンス要素・先が読めない・ミステリー小説・謎解き小説
まずあらすじなのですが、ネタバレにならない程度に、映画版の予告で紹介されたぐらいのストーリーを書きます。
2つの大きな事件が出てきます。
1つは、1年前におきた一家失踪事件。親子3人が失踪してしまい、今も見つかっていません。
もう1つは、偽札の事件です。
主人公(津田伸一)はあるきっかけで大金が手にするのですが、その金を使ったところ偽札でした。
2つの事件に、裏社会のある人物が関わっていると噂されます。
倉田健次郎。
絶対に関わってはいけないと言われている倉田と、津田伸一は関わるはめになっていき……。
(注・小説の中では実話を基にしているという設定ですが、実話ではありません。たぶん)
『鳩の撃退法』の凄さその2・魅力的なキャラクター・登場人物・小説家・裏社会の男・藤原竜也・西野七瀬・豊川悦司・風間俊介・土屋太鳳・相関図が必要・津田伸一・倉田健次郎・幸地秀吉・晴山
次にキャラクターなのですが、主人公の津田伸一(藤原竜也)。
この男は40歳で、かつて売れていた作家なのですが、今はある仕事の送迎ドライバーをしています。
飄々としている皮肉屋で、なぜか女性にモテて、つかみどころのない人物です。
倉田健次郎(豊川悦司)。
裏社会の人物で、名前を出しただけでも恐れられる男です。
ハリーポッターで言えば『ヴォルデモート』、ジョジョの奇妙な冒険でいえば『ディアボロ』みたいな存在で、怖い噂だけいろいろ聞こえてきます。
他にもドーナツ屋の店員沼本さん(西野七瀬)や、バーのマスター(風間俊介)など個性的なキャラクターが出てきます!
登場人物も多いので、相関図をノートに書きながら読むのも楽しいです!
(映画は2021年8月27日公開予定です!)
『鳩の撃退法』の凄さその3・圧倒的な小説上の文章テクニック・技法・時系列をシャッフル
個人的には小説の技法とかテクニックが『鳩の撃退法』を読んで1番驚きましたね。
小説の書き方には一人称と三人称があります。
一人称(僕は……私は……)
三人称(田中太郎は……、菊池桜子は……)
普通は、小説を書く時は一人称か三人称に分かれるのですが、『鳩の撃退法』は混ざってどちらも出てきます。
さらに、時間軸もかなり複雑です。
キューブリックの『現金に体を張れ』やタランティーノの『パルプフィクション』のように、物語がシャッフルされて今がどの時間軸なのかが一瞬分からなくなるほどです。
そして、構成は複雑なのに、全体としてテンポが良くて読みやすい文体。
とくに会話シーンのやり取りは、クスっと笑えるユーモアも出てきて面白いです。
普段文章を書いている人ほど、『鳩の撃退法』の文章力に圧倒されると思います。
ただ映画で見ると文章の凄みを感じられないので、個人的には原作小説を先に読んで欲しいと思います。
『鳩の撃退法』のレビュー・感想に「つまらない」というコメントがある理由・なぜ・難しい・複雑・時系列・映画を観る前に原作の小説を読もう!鳩とは何か?タイトルの意味・面白い・衝撃の結末・賛否両論
『鳩の撃退法』のAmazonレビューとかに「つまらない」というコメントがある理由を解説します。
複雑すぎて、理解しづらいからだと思います。
時間軸の時系列がシャッフルされていたり、視点がコロコロ変わったり、人称も変化していくという、複雑な技法を多く使っています。
パパっと読むと何が起こっているのか分からなくなってしまうこともありますが、ゆっくり読んだり再読していくと、この小説の仕掛けの全体像が見えて驚愕することでしょう。
何気ないシーンに伏線があったり、緻密な構成に舌を巻きます。
『鳩の撃退法』は意図的に分かりづらく、読者を煙に巻くように書かれています。
そのほうが、物語がスリリングで面白くなるからです。
そして最後まで読むと『鳩の撃退法』の鳩とは何かが分かり、タイトルの意味も分かってきます。
あと、上下巻で読むのが大変なのも、普段本を読まない人にとってはマイナスになるかもしれません。
じっくりと時間を取って、映画を観る前に原作の小説『鳩の撃退法』を読むことをおすすめします!
『鳩の撃退法』との出会い・筒井康隆おすすめ・絶賛した小説・山田風太郎賞受賞・佐藤正午さんの最高傑作の小説!名作本
そもそもなぜ私がまだハードカバーの段階で『鳩の撃退法』(佐藤正午さん著)の本を購入して数年前に読んだかというと(現在は文庫版もKindle版も出ています)、筒井康隆さんが絶賛していたからです。
筒井康隆さんが褒める小説や褒める作家はできるだけチェックするようにしています(町田康さんや中原昌也さんも、筒井さんが絶賛していたから読むようになりました)
筒井康隆さんがなぜ『鳩の撃退法』と出会ったかというと、山風風太郎賞の選考委員だったからです。
山田風太郎賞は、毎年骨太の作品が受賞することでお馴染みなのですが(第1回『悪の教典』貴志祐介・第2回『ジェノサイド』高野和明 )、『鳩の撃退法』は第6回の山田風太郎賞を受賞しました。
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「なんでこんなすごい作家が今まで埋もれてたんだ!」
と筒井康隆先生が恐れおののいたというエピソードが描かれてましたね。
佐藤正午さんはその後すぐに『月の満ち欠け』で直木賞を受賞します。
『月の満ち欠け』もめちゃくちゃ面白いですが(生まれ変わりをモチーフにしたファンタジー恋愛小説です)、『鳩の撃退法』はさらに面白いのです。
その年に読んだ小説で、国内海外合わせて1番興奮した作品でした。
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